精神科関連書籍・映画

医学部生推薦・精神科関連漫画(精神科の勉強になる漫画)

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精神科の勉強にもなる楽しい漫画!(医療現場系漫画)

楽しい漫画として紹介するのは「Shrink~精神科医ヨワイ~」「リエゾン ーこどものこころ診療所ー」の二冊になります。この二冊は、かなり優しい雰囲気の漫画です。(イメージ的には、「産婦人科の『コウノトリ』の精神科版みたいな。)軽やかで読みやすい漫画の中にも、真面目な場面もあります。

精神科疾患の症例集、漫画版「Shrink」

Shrink~精神科医ヨワイ~」パニック障害、うつ、発達障害など、精神科疾患について描かれています。

医療従事者向けに言えば、「多くの精神科疾患の症例集、漫画版!」といったものです。普通の症例集と違い、患者さんが漫画化されていてイメージしやすいです。「患者は症例ではなく、一個人である」ということを意識させられます。(精神科の学生実習で、多くの症例に巡り会えること・長期にわたって患者さんに接することはほとんどありません。この漫画を通して、少しでも患者さんのイメージを作れれば・・・と)

さらに小児科に絞った「リエゾン」

小児科精神疾患は扱いが難しい分野です。子供は周囲(特に親・社会)の影響を大きく受けます。難しいイメージが強い児童精神分野ですが、リエゾン ーこどものこころ診療所ー」を読めば、様々な疾患について視覚的に勉強になります。

精神科の負の一面・難しさを描いた漫画(医療と社会を結ぶ漫画)

先ほどの「明るい」イメージの精神科関連漫画と異なり、今度紹介するのは「暗い」漫画です。先ほどまで紹介した漫画は「医療現場」の漫画になりますが、ここから紹介する暗い漫画は「医療現場に至るまでの」漫画にもなります。

精神疾患は「一回、病院を受診してしまえば治療はほとんど成功。本当に苦しんでいる人はそもそも病院にいない(家に引きこもっていたり、閉じ込められていたり)」とも言われています。ここから紹介する漫画はその「本当に苦しんでいる人たち」にフォーカスがあたっています。そのため「暗い」のです。ただ、これが現実であり、目を背けてはいけない内容です。社会で苦しんでいる人たちが、医療や福祉に結びつく場面が描かれています。

精神科疾患患者の困難な現実~「子供を殺してください」という親たち

衝撃的なタイトル

まず紹介するのは、「「子供を殺してください」という親たち」です。(非常に悲しいお話も多く、僕は、感情移入で普通に泣きました。)

「精神科疾患になった!」時に、「はい、病院行って治療!入院!うまくいった!おつかれ!」なんてことはありません。患者さんは、医療ケアを受けながら、同時に家族や地域に支えられて精神科疾患とともに、生きていくのです。精神科疾患を抱える人には、多くの社会的な困難も生じます(代表例以下)。

  • そもそも患者は病識に乏しく病院に行きたがらないことも多い(病状の悪化)
  • 病院に行っても、良い先生ばかりではない
  • 薬をもらっても、病識に薄く飲まない人もいる
  • 患者とその家族の関係は必ずしも良好でない
  • 精神科疾患は社会的な偏見も多い(そのため、適切な治療を受けられなかったりする)

このような問題から、社会になじめていない患者やその家族を描いた漫画です。(一つの家族にフォーカスした漫画ではなく、いろんな家族がかいてあります。)「子供を殺してください」というタイトルは衝撃的ですが、内容は、そのような雰囲気です。

精神疾患の影響で、とても辛い状況下に陥った家族がたくさん描かれています。生まれた直後は、親に愛されて生まれる人が多いです。ただ、精神疾患が影響で、その介護疲れなどの影響で、「子供がいなければいいのに」と思ってしまう状況。なんと悲しい世界でしょうか。ただ、このようなことも普通に現実としてあります。そんな家族の負担を考慮して、「医療保護入院」などのシステムもあるのだと思います。(詳細は→精神科病床の機能と役割(理論と入院形態)

移送サービス業

本作の主人公は精神障害者を説得し病院に届ける「移送サービス」業をしています。精神疾患の人で、自分から病院に行かない人を、病院につなげる仕事です。どうしてこのような仕事があるかと言えば、本人の同意なしに入院することは非常に難しいからです。本人の同意なしにする入院には以下の二つがあります。

  • (緊急)措置入院:自傷他害の恐れがある人を強制的に入院させる
    つまり、自傷他害の恐れがない限りは入院はできない。また、自傷他害の恐れを証明することは難しい。いざ危険な状況にならない限り、自傷他害の恐れは証明できない。
  • 医療保護入院:家族の同意+入院の必要なときに入院させる。家族と患者の仲が良くないと、そもそも病院にまで連れて行けない。(だから移送サービス業がある。)病院に行かないと「入院の必要がある」と判断することはできない

このように、「本人の同意なしに入院することは難しい」のです。ただ、それが原因で、本人が医療サービスを受けずに、病状が悪化しては大変です。そのため、移送サービスのような人がいるのです。

麻薬はなかなかやめられない「マトリズム」

「マトリ」いわゆる麻薬取締官を主人公とした作品、「マトリズム」を紹介します。

  • 麻薬使用者はどのような経緯で麻薬に手を出してしまうのか(そしてどのように発覚して逮捕されるのか)
  • 麻薬を使った人の精神状態・使用者が外の世界をどのように見ているか
  • 薬物使用時の状態(多幸感・易怒性など)
  • 薬物使用者がどのような悲惨な状況になるか

以上のような話が、様々なストーリーに載せて書いてあります。麻薬使用時の症状はかならずしも教科書定型通りではなく、そこがまたいろいろと勉強にもなります。

メインの主人公は、麻薬取締官は、かなり暴力的に見えますが、麻薬使用者のことを考えていたり、残された家族のことをフォローをしていたりと、良い一面も垣間見える漫画になります。

児童相談所・虐待を描いた漫画「ちいさいひと」

虐待などの被害経験は子供の発達を遅らせたり、子供が中長期的に心身に不調を来す原因になるとされています。

そのような虐待を防ぐ・相談にのる・介入するのが「児童相談所」になります。(児童精神科でも児童相談所と密接に連携をとられている施設もあります。)そのような児童相談所について書かれた漫画が「ちいさいひと」です。(新版もでています。)

児童を保護する難しさや、親の苦悩、親子関係の難しさなどが描かれています。(様々なケースを漫画にしたものになります。)

当事者目線の漫画(紹介文章作成中)

ここからは「精神疾患」にかかった人が、当事者目線で描いていく漫画を紹介していきます。紹介する漫画の中では、精神疾患を持つことによる生きづらさ、苦労が描かれています。このような苦労(現実)は時にヘビーな話題であり、重たい漫画になりがちに思えますが、ここからの漫画はかなり読みやすい漫画になっています。ここから紹介する漫画を読む際には、時にページをめくるのをやめ、「自分が同じ立場だったら」と考えると、より漫画が面白く、深みがあるものになるかもしれません。

統合失調症

統合失調日記

高校生の時に統合失調症になった作者が描くコミックエッセイです。

「統合失調症」は誰しもがかかる可能性のある(かつ全人口の1%もなる)病気です。それを当事者目線で描いた漫画です。作者の生きづらさを感じさせられる漫画でもあります。

漫画の途中には「精神科医のスペシャルコラム」というページがあり、統合失調症に関する知識(例えば易学や症状・治療など基本的知識から幻覚の酒類についての解説等まで)が載っています。「漫画の中で描かれている幻覚についての解説」なども載っていて、非常に面白いです。漫画を読みながら統合失調症への理解を進めることができます。

統合失調症についてよくまとめられており、統合失調症に全く詳しくない人にも、医学部の学生にも薦められるような一冊になっています。

強迫性障害

強迫性障害です!

強迫性障害をもつ作者自身の人生を描いたコミックエッセイです。作者の半生を描いた「強迫性障害です!」と、その治療について描かれた続編「強迫性障害治療日記」の2冊のシリーズになっています。

個人的には、1冊目(「強迫性障害です!」)は万人受けする本、2冊目(「強迫性障害治療日記」)は興味がある人向けの本になると感じました。1冊目は主に「症状」について描かれており、誰が読んでも面白く読めます。2冊目は漫画ストーリーの途中に「治療法」の話が入ってくるので、医療に全く興味がない人にはあまりむいていないかもしれません。1冊目を読んで、強迫性障害に興味を持った人や、元々興味があった人は2冊目をとても楽しめると思います。精神疾患の非薬物療法に少し興味がある人・学生にはお勧めできます。

高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで

こちらも強迫性障害について扱っている漫画です。ただ先ほどの漫画「強迫性障害です!」とタイトルから大きく異なり「強迫性障害」はそこまで強調されていない漫画です。

  • 精神疾患の発症
  • 苦労(苦悩)+周囲との困難
  • 病院にかかる
  • 疾患と向き合っていく

という一連の流れが漫画になっています。当事者目線の漫画の中では、その苦労・困難がより詳細に描かれている数少ない漫画です。作者が少しずつ、病気と向き合い、治療へと向かっていく姿が描かれていています。強迫性の「自分がおかしいことをしているのは分かっている、でも止められない」という苦悩が、とても描かれていて、強迫性障害の難しさが分かります。

生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした

「子供が発達障害だ」と言われたらどんな気持ちになるでしょうか。

  • 自分の子供は普通ではないのか?(いや、うちの子は「普通」だけど、たまたま「今だけ」発達が少し遅いだけで、後々追いつくのではないか?)
  • 自分のせいで発達障害になったのではないか
  • 他の子供たちはあんなこともできるのか
  • 発達障害で周りに迷惑かけていないかしら
  • どこに相談すればいいの?
  • そもそも子育てが辛い(自信が無い・・・)

色々な不安や葛藤が生まれると思います。そのような苦労が分かりやすく描かれている漫画です。ストーリーの途中には日常生活の何気ない(でも面白い)シーンが4コマ漫画で描かれていたりもして、それもまた面白いです。

ストーリーの途中には精神疾患が大きな障害になる現代社会の生きづらさも描かれています。かなり的を得た指摘で、児童精神医学の入門書的存在「子どものための精神医学」に書かれていることが、漫画で、当事者目線で描かれていたりします。

作者自身も発達障害を抱えており、「当人のこれまでの人生+発達障害の子供と歩んでいく人生」のふたつの内容が描かれており、そこもまた面白いです。当人がこれまでの人生を振り返りつつ、また子供の人生を考えるという面白さがあります。

  • 子供の発達段階についても描かれており、小児科分野の勉強にもなる

その他精神疾患をテーマにした漫画

アル中ワンダーランド

統合失調症だけど、がんばって生きています

人間仮免中

統合失調症含む色々

不安障害とADHDの歩き方

ADHDならではの「自分だけうまくいかない」といった感覚が表現されている

こころを病んで精神科病院に入院していました